刑事コロンボを語ってみました!
前編「構想の死角」
2025.1.14
90年代に初めてパソコンを買って、電話線からインターネットに繋げたとき、「やったー!これで自分は世界中の人とつながった!・・・さてまずは何をしようか・・・」とりあえず、自分が子供の時に一番好きだったテレビ番組「刑事コロンボ」を検索してみました。
「あっ!刑事コロンボの研究本のモニター募集!面白そうじゃないか!!早速、応募しよう・・・」
数日後、「刑事コロンボ読本」という分厚い本が送られてきました。読んでビックリ!詳細で丁寧!!読み物としても面白い!実にいろいろな角度から刑事コロンボを論じていたのです。
早速、著者に本の感想を送りました。この作者が現在日本の刑事コロンボ研究の第一人者として知られる町田暁雄さんです。
小学校5年生の時、ソロバンの試験を受けた会場の黒板に貼ってあった「刑事コロッケ!」という「刑事コロンボ」をモジったポスターが何故か気になり、「刑事コロンボって何だろう」と思っていました。テレビで初めて見たのは小学校6年生の時、最後の犯人とコロンボの対決でコロンボが「エディに書けるはずがないんです。マロリーさんにだって思いつかなかったくらいなんだから」と犯人を追い詰める。その迫力に鳥肌が立ちました。面白い!その後、テレビで放送する度に「刑事コロンボ」は見ました。毎回、医師、弁護士、作家、将軍、俳優とそれぞれの分野のエキスパートが犯人。犯人を演じる俳優は映画やテレビのスターばかりです。その犯人の頭脳を使った完全犯罪。犯人の華やかな世界に、風采のあがらないコロンボ警部が登場。観察力と推理力で犯人に決定的な証拠を突き付ける。クイズみたいに楽しく、孤軍奮闘する姿が格好良いです。中学の同級生で同じく刑事コロンボ好きな友人がいて、そいつとは度々コロンボの話をしたけれど、もっと多くの人と話したいと思っていました。同じように思っていた人が大勢いたようです。町田さんは私と同い年でした。
インターネットで更に自分がハマったのはネットオークションでした。日本だけでは飽き足らずebayというアメリカのオークションにも参加しました。そこで刑事コロンボ(ピーター・フォーク)とゲストスターのサインを集めることに熱中しました。刑事コロンボグッズは本やビデオ以外なかったので、ゲストスターのサインを集めるということは実にいい考えだと思ったのです。
町田さんに会ったのは刑事コロンボのファンサイト「安葉巻の煙」のオフ会でした。2002,3年頃のことです。この頃に私は結婚したので、オフ会には時々、カミさんも連れて行きました。因みにこのエッセイで妻のことをカミさんと呼ぶのは、コロンボ警部の口癖「うちのカミさんが」から取りました。
カミさん「刑事コロンボはお父さんが好きで、一緒に見ていたよ。犯人が捕まるところでお父さんとニヤッと顔を見合わせるんだ」。カミさんのお父さんは推理ドラマと時代劇が好きなんです。カミさんが見ているのは全体の三分の一位です。それをどうにかして全作見せようと苦労しました。「今日、刑事コロンボを見よう」とか「これ、まだ見てないでしょう」とか誘ってみる。「うん見る」という時もあれば、「疲れているから」と断られることもありました。カミさんにとって「刑事コロンボ」を見るには集中力がいるようです。それでも2年位で全45作制覇しました。
ある日、町田さんが「刑事コロンボの同人誌を作ろうと思うんですけど、武藤さん、参加して貰えますか?」と声を掛けてくれました。参加者にはミステリー作家、ミステリー評論家、劇作家、雑誌編集者、サイト運営者、イラストレーターと錚々たる顔ぶれ、「自分がメンバーに入るなんておこがましい」と言うと「ebayでのサイン収集の顛末を書かれるのはどうですか?役者のサインにファンならではのコメントを添えて」とアイデアを出して頂いて、そうかその手があったのか。ネットオークションについて書くなんて死角でした。私は「それならば」と快諾しました。
同人誌「COLUMBO!COLUMBO!」は全6冊予定でスタートしました。初めての連載!数々の失敗と大きな喜びと・・・それは次回に譲ることにします。