刑事コロンボを語ってみました!
後編「策謀の結末」
2025.2.25
同人誌は「COLUMBO!COLUMBO!」と名付けられ、私も自分の連載のタイトルを決めました。シャーロック・ホームズに「四つの署名」という作品があったので、そこから「七つの署名」(毎回平均七人のサインを紹介するから)とすることにしました。主催の町田暁雄さん(刑事コロンボ研究の第一人者)から「著名というのにはサインと言う意味もあるのですか?」とあったのでメールを確認すると私は"署名(しょめい)"を"著名(ちょめい)"と書いていました。昔、アルバイト先で変更(へんこう)をへんべんと読んでしまい。しばらくへんべん野郎と呼ばれていましたし、チラシを見て「かきおとし公演て何でしょうね?」と言って「役者の癖に杮(こけら)落としも読めないのか」とあきれられたことがあります。
初めての連載でしたが、気負わず素直に書いて脱稿しました。町田さんと一緒にデザイン事務所に行きサインをコピーしました。こういった作業の一つ一つが新鮮です。後日、原稿のゲラが送られてきました。これが本になると思うと気分が高鳴ります。そして2004年12月に完成した同人誌「COLUMBO!COLUMBO! vol.1」が送られてきました。
私の連載はトップバッター、巻頭でした。町田さんには「誰でも気軽に楽しめるものを最初に持ってきたんです」と言っていただけて嬉しかったです。後には評論やインタビュー、小説と読み応えたっぷりな読み物が控えています。コロンボについて語りたい!夢がかなった瞬間でした。
そして「COLUMBO!COLUMBO!」は不定期ではありましたが順調に発刊され続けました。もちろん、連載中、いくつかの失敗はありましたが、それを超えた喜びの方が多くありました。多くの仲間に出会い。刑事コロンボについて多くを語りました。
「COLUMBO!COLUMBO!」には特筆すべきことがありました。その一つは2人の偉大な功労者~日本語版吹替の演出を担当した左近充洋さん、日本にコロンボを紹介した石上三登志さんへのインタビューです。
石上さんは情報が少ない時代、刑事コロンボの小説(ノベライズ)の解説(あとがき)でスタッフ・キャストについてや、アメリカのテレビ事情などを書かれていて、それは子供の自分に取っては唯一の貴重なコロンボ情報でした。
町田さんが病気療養中の石上さんに会うという話を聞いて、サインを貰ってくれるようおねだりしました。その時、「お見舞いに一緒に行きませんか」と誘われたのですが、緊張して上手く話せないだろうと気後れして断ってしまいました。石上さんはサインを書きながら「当時から今までずっと、コロンボや自分のファンでいてくれる人がいることは、あの頃にきちんと仕事をしたことが報われていて、こんなに嬉しいことはない。同志のようなもの。よろしくお伝えを」と言って下さったということです。石上さんと少しでも接点が持てたことはうれしかったです。
最終巻の為に71人のコロンボファンへベスト作品のアンケートを行ったのですが、私は「死の方程式」「歌声の消えた海」と笑える要素が多い作品を選びました。カミさんは可愛らしい老女が犯人の「死者のメッセージ」、化粧品業界が舞台の「毒のある花」など女性ならではの視点で選びました。旧作45作はどの作品も誰かしらのベストに選ばれていました。
2015年の4月に最終号(vol.6)を発刊しました。「七つの署名」の最終回も盛りだくさんでした。残り全ての犯人役のサインを紹介できたこと。石上さんから入手したサインのこと。そして、最後に連載中のトップページに自分のサイン入り写真を入れさせていただいたこと。写真はラッパ屋30周年記念のパンフレットの馬場道浩さん撮影のものを使わせていただきました。コロンボファンがコロンボ役者と無理やり肩を並べるというこの企みは初回から考えていたものでした。
同人誌は2025年2月現在、神保町の矢口書店で入手可能です。
さて、刑事コロンボの名台詞で終わります・・・ここまでここを過ぎず!