劇団ラッパ屋

武藤直樹の「やってみました!」

歌ってみました! 後編「リズム」

2024.11.28

 ボイストレーニングを始めた私に8月のある日、洋三(ひろみつ)先生は言いました。「武藤さん、お祭りで歌いませんか?」
 私「どうする?」カミさん「出ようよ。夫婦で一緒の舞台に立てて、うれしい」私「そうだね」と出演を決めました。

 歌うのは2曲。出演者は9名。私とカミさんは先生のオリジナル曲「泡沫(うたかた)の行方」をメインに歌いました。何度か聴いているので音程もメロディも何となくは分かっていました。しかし、先生のレッスンでは、微妙なリズムが合わないために何度も歌わされました。本当に何度も何度も。カミさんはそんな私に同情して「でも、声がいいから武器ですよね」と援護射撃をしてくれましたが、先生は「だから、間違えると目立っちゃうんです」と厳しい。メトロノームの刻む音に合わせて膝を叩いてタイミングを取って、そのタイミングに歌の詞を合わせる稽古等いろいろやりました。

 家でもカミさん(音楽学部卒業)相手に稽古。カミさんは結構厳しく、間違えると「そうじゃない」と声が飛んできます。また「何で出来ないんだろう?」と悩んでもくれました。私も「もう止めよう」と稽古を切り上げて逃げに入り、我が家の空気もギクシャクしました。様子を見に来た先生も、私が大変そうにしているのを見て、歌う個所を減らしてくれて、どうにか本番に間に合いました。

 当日、お祭りは人の波、神社内に設置された特設会場も満員。会場に着くと進行が20分押していました。ライヴの途中にスタッフが「終演は21時だから、時間を守って欲しい」と言いながら、舞台に上がってくるというハプニングはありましたが、盛況のうちに終わりました。歌う楽しさが更に分かった一日でした。

 お祭りの翌週、ケアセンターの慰問で歌うことになりました。観客はケアセンターを利用しているお年寄りの方たち。元気な方もいれば、車椅子に座っている方など、いろいろです。介護の人も一緒に聴いてくれます。歌によっては踊り出す人もいました(カミさんはそういう人たちと一緒に踊っていました)。最後はお約束の「アンコール」。楽しそうなお年寄りさんたちの顔を見るとこちらも元気を貰います。慰問は好評で翌月にも呼ばれました。「三百六十五歩のマーチ」は(慰問での)私の持ち歌になりました。こうやって、人前で歌うことにも段々と慣れてきました。

 11月9日(土)グラストンベリー(土曜の夜だけ開いている歌好きな人が集まるバー)において、グループレッスンのメンバーでライヴをやることになりました。私は「君は薔薇より美しい」「ロード」を歌うことにしました。
 ライヴなので、歌詞は暗記してMCも考えました。そして、カミさんはロールアップピアノ(携帯できる電子ピアノ)を、私はハーモニカを、ライヴ感を演出するために買いました。
 「ロード」の演奏は最初と最後に私のハーモニカ、メインをカミさんのピアノ、サポートを先生のギターと豪華です。カミさんはピアノの演奏で試行錯誤、最初は単調な演奏から段々派手に盛り上げていきます。しかし、悲しい曲だから盛り上げられると歌いにくいと私が抗議。我が家の空気がギクシャクしそうになりましたが、結局、カミさんは私の希望をくんでくれました。
 先生の最後のレッスンでは、驚くほど簡単に高音が出ました。
 先生「出ましたね!」カミさんも「凄い!」と喜んでくれました。

 ライヴではMCが受け、歌詞を間違わなかった!一方でハーモニカが上手く演奏できなかったのと、高音があと一歩出なかった!という2勝2敗の結果でした。
 肝心の高音が出なかったです。悔しー!次のライヴ(いつあるか分からないけれど)まで、また頑張ります!

武藤直樹の「やってみました!」

武藤直樹

武藤直樹 プロフィール

むとう・なおき
埼玉県出身。2月21日生。A型。
第18回公演『阿呆浪士』(94)より出演。1985年~88年まで演劇舎螳螂で活動。
近年の主な外部出演作【舞台】月蝕歌劇団『五瓣の椿』(18)、月蝕歌劇団『男の星座』『女神ワルキューレ海底行』(18)、TABACCHI『バルバトス~嘘、連鎖、叫び~』(17)

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