劇団ラッパ屋

第4回公演
『スターダスト』

1986年6月8日(日)・9日(月)・13日(金)~15日(日) 7ステージ @東芸劇場

第4回公演『スターダスト』
第4回公演『スターダスト』
第4回公演『スターダスト』

キャスト

キッド
和田都
ピンスケ
与儀省司
ももんが
熊川隆一
渥美
竹内義明
北川
長谷川晃示
ハーシー
福本伸一
ハマコ
早川晃子
三平
久保孝一
ふね
室田紀子

スタッフ

作・演出
鈴木聡
美術
福島正平
照明
板谷静男
音響
加藤昌史
衣裳協力
今吉順子
萱野忍
宣伝美術
内谷敬史
加藤法子
協力
演劇集団キャラメルボックス
劇団てあとろ50’
劇団風力潜水艦
東京アクターズスタジオ
制作
喇叭屋制作部
企画・製作
サラリーマン新劇喇叭屋

第4回公演『スターダスト』

チラシの裏口上

スターダストへ、ようこそ。

僕らは、ザ・ピーナッツにヒジ鉄をくらい、霧の中に消えて行ったハナ肇が忘れられない。もちろん、「シャボン玉ホリデー」のエンディングだ。そして、その時、ザ・ピーナッツが歌っていたのが「スターダスト」だった。植木や谷や布施明や小松政夫の、一週間でいちばん楽しくオシャレな時間が終わっちゃう。日曜日が終わっちゃう。いやだ、いやだ、とダダをこねる幼い心を、「スターダスト」は優しく、せつなく悟すのだった。-----ねえ坊や、楽しい時間は、いつかは必ず終わるものなのだよ。君の人生だってそうさ。いつか霧の中に消えて行く。だからこそ、ひとや世界は、こんなにピカピカ光っているんだ。----思えば僕たちは、小学校にあがる前に、世界は終わるから美しいことを、「スターダスト」によって知ったのだ。そして、その終わり方は、ちょっとエッチなことを言ってヒジ鉄をくらい、しょーがねーから帰ろ、と背中を向けるハナのように、軽く、さりげなくあるべきことを。御存じのようにサラリーマンの生活は、果てしなく、区切りのないモノである。1学期もなく、2学期もなく、ヘタすると40年も続く。その肩コリしっぱなしの精神は、盆と正月によって、かろうじて支えられている。いつのまにか、終わることを忘れている。だから美しいことを忘れている。劇場は、そういう人たちのためにこそ、ありたいとと思う。バカバカしく楽しい時間と、せつなく美しいラストシーンを、血と汗と残業にまみれた魂にお届けしたい。サラリーマン新劇・喇叭屋は、そんなあなたのハナ肇です。

パンフレットより

スターダスト・サラリーマンのすすめ

「スターダスト」は、1929年にアメリカの作曲家、ホーギー・カーマイケルが、母校である小学校の校庭で、星空を見上げながら作った曲と言われている。なるほど、その夢幻的なメロディは、まさに宇宙だ。僕らは、そこに、カーマイケルの、星や空に1cmでも近づこうとする意志を感じる。ダ・ビンチは飛行機の設計図を描き、ヴェルヌは「月世界旅行」を書き、アメリカはアポロを飛ばし、そしてカーマイケルは「スターダスト」を作った。でも、そうしたさまざまな宇宙へのアプローチと、決定的にちがうところが「スターダスト」にはある。それは、「郷愁」だ。「月世界旅行」は、明日を夢見ているが、「スターダスト」のメロディは昨日を振り返るようだ。それは、カーマイケルのもう1つの名作「我が心のジョージア」がもつ気分と似ている。幼き日に走り回った花畑や、牛の声や川のせせらぎを想うように、カーマイケルは星空を見上げた。話はやたらでっかくなるが、ビッグバンが起こったころ、宇宙には光しかなかったそうだ。その光の粒が、どういうわけか惑星や、石や、コケや、ゲンゴロウや、人間になった。つまり、僕らは誰も、カラダの奥の、奥の、ずっと奥に、光だったころの思い出をもっている。それは、宇宙にぽっかりと浮かんでいるじぶんだ。「スターダスト」だ。
声を荒げるまでもなく、サラリーマンの生活は、残業・上司への気配り・妻との口論・腰痛などで満ち満ちている。そうした人々に、大人になる前のツツジの蜜の甘さや、人間になる前の、どこかですれ違った流れ星のことを思いだしていただくことが、僕ら演劇屋にできるせめてものサービスだろう。このお芝居を御覧の上、明日から、宇宙にぽっかり浮かんだ気持で、伝票整理に励んでいただきたい。接待マージャンで役満をフりこんでいただきたい。
というわけで、開演まで、しばらくご歓談ください。

上演記録

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