劇団ラッパ屋

弘中麻紀の『エッホ!巻』はじまります。

我が家はひとり娘

2023.6.1

 リーディング公演を終えてすぐですが、ラッパ屋は、第48回公演『ウェルカム・トゥ・ホープ』の稽古の真っ最中。歳を重ねても、希望を忘れないでいたいですね。皆さまに素敵な作品を届けられるよう、踏ん張ってまいります!!ぜひとも劇場にお運びくださいませ。

 さて、我が家のお話。

 うちは私夫娘の三人家族です。
 娘は、ひとりっ子あるあるなのでしょうか、1人遊びが得意。人形やぬいぐるみを並べて遊んだりお世話したりするのが、小さい頃から大好きです。

 娘が小さい時は、よく劇場の託児サービスを利用しました。
 あれは、本当にありがたかった。

 だいたい劇場の施設内にあるので、本番が始まる前に預けに行き、終演後すぐに迎えに行きます。預ける時間が最小限ですみますし、料金もさほどお高くありません。保育士さんがちゃんとみていてくださるので、その点もとても安心です。
 娘が未就学児の間は、何度も利用させていただきました。

 4歳くらいの頃、東京芸術劇場の託児サービスを利用した時のことです。

 芝居が終わって迎えに行くと、保育士さんが
 「娘ちゃん、たくさんおしゃべりしてくれて、楽しく遊びましたよ」
 と、笑顔で娘を連れてきてくれました。ああ良かった、ありがとうございます、などと話しながら帰る支度をしていると、
 「妹ちゃんのお話もたくさんしてくれて。まだ赤ちゃんだから、娘ちゃんがお世話してあげるんですってね。すごく仲良しだって言ってました。いいですね」
 とおっしゃるではありませんか。

 えええ?何何何?怖い怖い怖い!!
 妄想?想像?何か見えてる?

 「この子、ひとりっ子なんです」
 とは言えず、
 「ああ、ねえ、あはははは」
 と、適当な感じで返すことしかできませんでした。

 頭の中でいろんな情報が渦巻くなか、保育士さんが
 「妹のゆうちゃんとも、今度は遊びたいなあ。娘ちゃん、またねー」
 と言って私たちを送り出してくれました。
 ああそうか。『ゆうちゃん』か。これで謎が解けました。

 『ゆうちゃん』というのは、娘が2歳の時にサンタさんにもらった、一番大切なお人形で、一番仲良しの妹なのです。娘はゆうちゃんのことを、自分の本当の妹のように保育士さんに話していたのでした。

 娘は、ゆうちゃんを寝かしつけたり、本を読んであげたり、いつも一緒に仲良く遊んでいました。

 ゆうちゃんは、お風呂対応のお人形ではないのですが、娘がどうしても一緒に入りたいと言って、何度かお風呂に入れて洗ってあげていました。
 濡らしてしまうと、そのままでは中にカビが生えてしまうので、かわいそうですがしばらくの間、非道な母親(私)にバラバラにされて、干されます。
 その様子がこちら。

弘中麻紀の『エッホ!巻』

 髪の毛も、もう元のサラサラヘアには戻らなくなってしまい、ぼっさぼさの状態ですが、中学生になった今でも、彼女が一番大切にしているお人形です。いや、妹です。

 今も時々
 「今からでも妹か弟できないかな!すごい歳の差だけど、私めちゃめちゃ面倒見ると思う!」
 と、とんでもない希望を言ってきますが、それが出来たら私もギネスブックレベルです。人類の奇跡に希望を持ってはみますが、やはり妹は、ゆうちゃん1人になりそうです。

 それでは皆様ごきげんよう!

弘中 麻紀

弘中 麻紀 プロフィール

ひろなか・まき
兵庫県出身、11月12日生まれ。早稲田大学演劇サークル・演劇集団てあとろ50'を経て、1992年にラッパ屋に入団。親しみやすい笑顔とコメディセンスで、舞台、映画、テレビドラマと幅広く活躍中のバイプレイヤー。近年の主な出演作品に【舞台】『百日紅、午後四時』(鈴木聡演出)、『夫婦漫才』(ラサール石井演出)、『王将』(長塚圭史演出)【映画】『決戦は日曜日』、【ドラマ】『弁護士ソドム』(TX)、『新・ミナミの帝王22』(KTV)、『卒業タイムリミット』(NHK)など。

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