劇団ラッパ屋

第35回公演
『世界の秘密と田中』

2010年1月9日(土)~17日(日) 12ステージ @紀伊國屋ホール
1月19日(火)・20日(水) 2ステージ @大阪・サンケイホールブリーゼ
1月23日(土)・24日(日) 2ステージ @北九州芸術劇場 小劇場

第35回公演『世界の秘密と田中』
第35回公演『世界の秘密と田中』
第35回公演『世界の秘密と田中』

キャスト

田中英介
福本伸一
田部豊男
おかやまはじめ
東礼子
岩橋道子
玉村清志
木村靖司
大須賀美智
三鴨絵里子
村田繁
俵木藤汰
田中翔子
弘中麻紀
田中美雪
大草理乙子
小西渉
岩本淳
佐藤雄三
中野順一朗
陣内知己
熊川隆一
桑原征司
武藤直樹

スタッフ

作・演出
鈴木聡
美術
秋山光洋
照明
佐藤公穂
音響
島猛
(ステージオフィス)
衣裳
花谷律子
演出助手
則岡正昭
舞台監督
村岡晋
照明操作
松村光子
音響操作
大久保友紀
(ステージオフィス)
演出部
藤林美樹
野村瞳
衣裳部
名村多美子
大道具
夢工房
小道具
高津映画装飾
トランポ
帯瀬運送
宣伝美術
芹沢ケージ
冨宇加淳
印刷
竹内美術印刷
舞台写真撮影
木村洋一
宣伝
吉田プロモーション
票券
後藤まどか
制作助手
市川美紀
(Little giants)
ARTIST MANAGEMENT
藤賀事務所
ワンダー・プロダクション
藤コーポレーション
BY THE WAY
ミーアンドハーコーポレーション
協力
八重樫慶
アーティスティックポイント
当日運営
お手伝いの皆様
伊澤玲子
市野恭子
江畑典和
志賀亜喜子
中島まり子
町田菜花
制作協力
ミーアンドハーコーポレーション
制作
山家かおり
吉田由紀子
江口紀子
早川晃子
東京公演運営協力
サンライズプロモーション東京
大阪公演共催
サンケイホールブリーゼ 
大阪公演運営協力
サンライズプロモーション大阪 
北九州公演主催
(財)北九州市芸術文化振興財団
北九州公演共催
北九州市
北九州市教育委員会
企画・製作
ラッパ屋

第35回公演『世界の秘密と田中』

チラシの裏口上

「田中かよっ」と、すぐツッコミが来そうなぼど、我ながら腰砕けなタイトルだ。できれば世界の秘密と対決するのは、アイドル魔法使いのハリ-・ポッタ-や、ダ・ヴィンチ・コードの謎を追ったラングドン教授でありたかった。だがその名前は使えないし、田中には田中なりの「世界の秘密」を追う事情があったのである。かくして巻き込まれるオマヌケな事件。そして彼が最後に出会う「世界の秘密」とは・・?笑いと感動。でも切実すぎて子供は楽しくない大人のファンタジー、『世界の秘密と田中』。田中はあなたであり私である。さあ、田中と一緒に世界の秘密を暴きに行こう。腰砕けになることを恐れずに!(鈴木聡)

パンフレットより

 シェイクスピアにも歌舞伎にも落語にも名セリフは溢れ、僕はよく知らないが、「ガンダム」にも「クレヨンしんちゃん」にも「スラムダンク」にもたくさんあるに違いない。僕が忘れられない名セリフの一つに藤山寛美先生の芝居で聞いたセリフがある。(先生にはなせが先生と付けなければ気がすまない。先生のDVDなどを観る時、思わず学習の姿勢をとってしまうからであろうか。)その芝居はお元気だった頃、確か青山劇場で観た。先生は薬問屋のご隠居で、製薬会社のセールスマンと駆け落ちした孫娘を、駆け落ち先のアパートに乗り込み連れ戻す場面である。両親は立腹し、だが本心では心配している、という話をした上で、先生は孫娘にこう仰った。「親のこぶし上げさすのも子やけど、上げたこぶし、下ろす場所こさえるのも子の役目とちがうやろうか。」・・この時、僕も泣いたが劇中のおばちゃんたちが「うっ」と声を上げ感涙にむせんだのである。「ああ、いいこと聞いた」を僕は思い、いつか孫娘ができ、どこかのセールスマンと駆け落ちした時、このセリフを使ってやろうと決意した。そして人間の心理のアヤ、世間の機微、おおげさに言えば「世界の秘密」に、ちょっと触れたような気がしたのである。
 そういうセリフを書きたいと思い僕は黒い小さなノートをいつも持ち歩き、思いつくたび「世界の秘密に触れた気がするフレーズ」を書き溜めた。「タワシとワタシのちがいはなんでしょう?」・・ダジャレにすぎない。「どの男も誰かに似ているが、女は誰にも似ていない」・・恋愛ハウツー本の目次に書いてある気がする。「俺流を貫き通してヒラ定年」・・サラリーマン川柳のパクリである。ともかく、ノートが何冊も溜まったので、こうしたフレーズをペラペラ喋る登場人物を出したい、と思ったのが今回の芝居を書く動機の一つなのであった。
 大人になると世間がわかったような気分になる。どうにかしたいのにどうにもならぬことがわかり、あきらめのような境地に至ることもある。だがそれは知ればよりよく生きられるはずの「世界の秘密」を探して必死で本を読み、友と夜明けまで語り、ヘタクソな恋をし、淋しい街をうろついた気持ちを、忘れたくはない。

上演記録

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